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禁断背徳の鎖外伝・73億分の奇跡
第17章 孤独と希望

「海と‥空‥
夏の風景‥‥‥」
「うん、思った事を描いて見なさい‥」
「はい‥」
新しいキャンパスを用意し、美紀を座らせ‥
美紀の方は、初めての本格的な画材道具に、少し緊張しているよう。
「大丈夫、違うと思ったら消せるからね‥
思い切って描いてごらん?」
「はい季永さん‥」
まだ緊張しているようだけど、線を‥絵を少しずつ描き始め‥
私は少し離れた場所で、美紀の描いている姿を見詰める。
ずっと無かった幸せな時間‥
まさか本気で恋というものを知るのが、高校生相手になろうとは、誰が想像しただろうか?
どんな女性にも、惹かれる事は無かった私‥
逆に純粋だから、私の知っている黒く裏のある女性達とは違う、何も知らない純粋なあの瞳に引き込まれた。
(33にもなって、一目惚れとは‥
私も相当鈍いのかね?)
割と子供の頃から、女性の裏の部分を見て来た‥
だからこそ、普通の女性を求め、行き着いた先がこれとは‥‥
後10才くらい若かったら、少しは素直になれそうだが‥
30も超えたオジサンが、高校生相手に好きという方が余程勇気がいる事。
それに、私は美紀に年齢を教えていない‥
果たして美紀は、私を幾つだと思っているのだろう、少々聞くのが嫌なような気もするが‥‥
美紀はこまめにアトリエに通って来て、想像通りの風景を形にしていく。
初めてと言っていたが、そう思えないくらいに出来は良い‥
キャンパスに描けなさそうな時は、スケッチブックでのデッサン。
私と同じソファーに座り、真剣にスケッチブックに向き合う姿‥そして近付く距離‥
私の方は、はっきり自覚している‥
彼女‥美紀が欲しいと‥‥
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