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禁断背徳の鎖外伝・73億分の奇跡
第17章 孤独と希望



ただ1つ不安はある‥
私の悪い方の性癖‥一度抱いた女性には、興味が殆ど無くなってしまう事。


もし私が心のままに美紀を欲し傷付け、そして興味を失ってしまったら?


美紀に一生残る傷を付けてしまう‥身体も心も‥
その自制心が、今の私の本能を抑えている、何も知らない少女に、そんな事は出来ないと‥‥


だが、心の何処かに確信めいたものも存在する‥
絶対にそんな事にはならない、興味を失うどころか、手に入れてしまえは、私は何処までものめり込んでしまう‥そんな確信。


理性と本能のせめぎ合い‥
男というものは、本気になればなる程止まれないもの。


私のそんな男心に気付く筈もなく、美紀の方は本当に嬉しそう笑っている‥


初めて、このアトリエに来た時のような、陰りある表情は見せなく‥
クルクルと、表情を変えながら、楽しそうな雰囲気。


彼女は笑っている方が似合う‥
美紀の回りだけ輝いているような、私までつられて笑顔にしてくれるその表情。


ずっと、こんな穏やかな時間が続けば良いのに、その均衡を破ってしまったのは‥‥‥他ならぬ私だ・・・



きっかけは、本当に些細な事‥
何時もより美紀に近付いて、話してしまったのが‥‥始まり・・



「そう、才能あるよ美紀‥」


そう声を掛けた瞬間‥



「あっ‥‥‥」


小さな声を上げて、美紀の身体がピクンと揺れた‥
どうやら近過ぎて、息が耳に掛かってしまったらしい。



「あ‥ごめん、嫌だったね」


何も知らない美紀に、こんな事をして‥
だが、美紀の方は慌てて私の方に振り返り、真っ直ぐ私を見詰めて来た。



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