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禁断背徳の鎖外伝・73億分の奇跡
第6章 紀永と季永



「いらっしゃいませ…」


普通の雑居ビル、殆どが夜の商売関係だが、1つだけ水商売と見せ掛けた裏の取引場がある。


元々知っていたので、アポイントは取ってある‥KIEIの名で……



「・・KIEIで予約を入れているのだが?」


「・・!
これは失礼致しました、こちらへどうぞ…」


店先のボーイの案内で、VIPルームに当たる1部屋に案内された…
見た目は普通、しっかり酒も置いてある。



「・・高名なKIEIが、このような場所に何用で?」


(・・此奴が主人か…)



「私でも、手に入れたい物があるのだよ」


40過ぎ50才いくかという感じの男…
だが世の中見た目だけじゃ分からない‥私のように……



「希望の物は?」


「最新版のウイルス‥数は多ければ多い方がいい…
手に入るかね?」


「条件次第…」


「金か?
どれくらい欲しい?」


相手を見据えながら、のんびりと酒に手を伸ばす‥飲む気は無いが‥‥



「そうだな‥全てというのなら1本‥それが相場」


「1億か…
そんなものか?」


カランと氷を鳴らしながら、相手を牽制…
こういうのは経営学と祖父の手腕を見ていて、何時の間にか身に付いた‥それとも、私の中に流れる早乙女の血か?



「流石KIEIだ簡単に言う…
そしてその度胸にも恐れ入った」


「・・誉め言葉と受け取っておくがね…」


生来落ち着いた性格の私と、祖父の言動…
掛け合わせれば、このようになる‥‥心の中は糞ったれとは思っているが……



「プログラムは半分先に渡そう、その間に指定口座に金を、確認したら後の半分を渡す」


「・・その確証は?
生憎と言葉だけで信じる程、お目出たい性格では無いのでね」


「用心深い…
どんな保証が欲しい?」


「そうだな・・・」


保証か‥何が一番良いか……


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