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禁断背徳の鎖外伝・73億分の奇跡
第8章 仮面と憩い



昨夜の事なぞ何事も無かったように、朝は普通に事務所に顔を出す。


これが常‥葉山にすら、この事は話していないし、話す気も全く無い。



「おはようございます社長」


「おはよう…
今日の予定は?」


「今のところは、大きなものは入っておりません…
せいぜい昨日のホテルの人事だけでしょう」


「今日向こうに向かった3人から、絶えず連絡を…
リストアップされたとは言え、全てが本当とは限らない」


「承知しております」


「後は・・
今日は部屋にでも籠もるか…
プログラミングの続きをやりたいからね」


「分かりました、何かありましたらお呼び下さい」


葉山が出て行った後、目線は作りかけのプログラムに移す。



「これが出来上がれば、根本的からひっくり返す事が出来るのだが、なかなか上手くいかない」


構築しているのは、OSの基本理論…
従来の物より高性能に、それでいて汎用性をも追求し、この上に構築するであろう、あらゆるツールを円滑に動かせるよう・・


思っている程、楽な事では無い…
圧縮軽量化‥複合化‥
色々軽くしようと試したが、ことごとく失敗。


最新の論文で、米国のリチャード・マシューという博士が、軽量化に成功したとあったが、それでも展開出来るのは、ごく一部らしい。



(この分野はまだまだ研究段階・・)


可能性は秘めるが、現実的にまだ実用化は先と言ったところ。


そこは素直に諦め、本当に基本構築だけに専念するしか今は手が無さそう…
ついでに言えば、軽量化‥私はそっちの方向性には向いていないらしい。



「初めて3年…
まだ半分も出来ていないとはね、基本が肝心と詰め込み過ぎたか?」


まだ1子会社の頃から、このプログラムを組み始めてはいるのだが、理想を高くし過ぎたせいで、完成は後何年という時間が必要。


妥協する気は無いだけに、時間はどれだけ掛かるか分からない。


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