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禁断背徳の鎖外伝・73億分の奇跡
第9章 痛手と餓え
「・・・・・・」
別に初めから仲が悪かった訳では無い…
子供の頃は、孫を可愛がる良い祖父だったとは思う。
だが仕事に関したら話は別、冷酷な早乙女会長‥それもまた祖父の顔…
他人を追い落とすのに、何の良心の呵責も無く、不要と思えば身内でさえも切り捨てる。
「・・・・・・」
私が全く祖父に似てないと言えば嘘になるだろう…
仕事上の冷酷さは、どことなく継いではいる‥だが良心の呵責くらいはある…
なるべく穏便に済ます方を選んではいるが、やはり不必要と感じたら、躊躇い無く切る私が何処かに存在するのは確か。
(・・そう言えば朔夜叔父に言われた…)
祖父に一番似ているのは私だと・・・
「・・・・全く……」
久しぶりに、父や祖父の顔を見たせいか?
余計な事を思い出してばかり‥あまり思い出したく無い部分まで…
(人通り挨拶は済んでいるのだから、早々に退散するか?)
挨拶は父と祖父で最後、後はパーティーが始まる前に済ませてしまっていて、私が長々此処に居る理由も無い。
「・・あの・・・」
「??」
考え事を打ち切って、前を見れば1人の女性……
「飲み物1つ持っていなかったから・・・」
「ああ‥少し挨拶回りをしていたのでね…」
「でしたら‥どうぞ…」
女性は2つ持っていたグラスを、1つ私の方へ差し出した。
「すまないね…」
「いえ・・・」
いい加減、話疲れていたので、貰った酒を一口…
普段の私なら気付いていただろう…
だが父に祖父にと、立て続けに緊張する出来事で、周りを確認していなかったのは確か。
「・・・
聞いても良いですか?」
「何をだい?」
また酒を一口‥本当に喉が乾いていたようだ…
面倒くさい相手は疲れる‥そんなところ。
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