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禁断背徳の鎖外伝・73億分の奇跡
第10章 拡大と安定
「何事も健康からだ‥
色々と見て来たせいでもあるが、道連れは御免被りたいのでね」
「その通りです」
生来、早乙女系は健康に関したら弱い‥
これは血統によるものだが、ある程度はコントロール出来る筈。
そう思い、適度な食事制限と、少ない空き時間を使って、ジムには通っている。
「・・・
何故こうなったのか‥
いい加減、血統の限界かも知れん、私が言う事でも無いが悪習は早めに断つべきだ」
食後のコーヒーを飲みながら、つい一言零してしまう‥
近親婚なぞ続けているから、血の限界なぞ起こる‥
何処かで断ち切る事が出来れば、早乙女はもう少し生き延びるだろう。
「ですが、その分結束力は強い筈・・・」
「上辺だけの話だ‥
内情は見て知っているだろう、所詮そんなもの‥名ばかりの結束力に何の効力も無い」
「・・・・・」
「・・・
少々話が過ぎたな‥」
別段今話す事でも無かったが、健康と言う言葉から余計な事を話したものだ。
「お酒を召し上がれていますので、部屋は取っております‥
今日のところはそちらに‥‥」
「・・どちらでも‥」
一応は気を使ってくれたようだ、確かに酒を飲んだので、帰りはどうしようかと思ってはいた。
レストランを出て、葉山の案内で最上階のロイヤルスィートへ・・・
「本当に1人も気付かず‥か‥‥
少々心境複雑だ」
「・・此処まで変われましては・・・」
「そんなに違うかね?」
「・・・・・はい」
夜のガラスに反射する私の姿、確かに普段事務所に籠もっている私とは、見た目が別人‥年齢不詳の上流階級タイプ。
「・・これもまた私か、否定しても仕方無し、受け入れるしかないのだろう」
「・・・社長‥」
余計な話をしたせいで、複雑な顔をしている葉山を横目で見ながら、私はただずっと最上階からの夜景を眺めていた。
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