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禁断背徳の鎖外伝・73億分の奇跡
第10章 拡大と安定
『紀永か?』
「ええ‥
少々出ていたので‥
何かありましたか朔夜叔父?」
『・・・
兄貴が・・本格的に倒れた・・・』
「え・・・・・」
父が・・・倒れた・・・
『珍しく本社に来ていてな、倒れたのは本社なんだ‥
それで、そのまま病院に搬送されたんだが、今来れるか?
俺もまだ病院に居る』
「場所は?」
『市内の大学付属病院』
「直ぐ行きます」
電話を切ってから、手短にあったジャケットだけを掴み、駐車場へと走る・・
(この時間でまだ朔夜叔父が居ると言う事は、かなり危険な状態・・・)
無い事に本社に行っていたとは‥
父なりに、何か考えがあったのだろうか?
適当に車のキーを捕まえて来たから、仕事用の普通車だが、そんな事を構っている暇は無さそうだ。
すぐさま車を出して、大学付属病院へと向かう・・・
救急の受付で話を聞いたら、父はICUの中‥
となれば、朔夜叔父に会うのが一番と、ICU近くの待合室を探して見る。
「・・来たか・・・」
「・・父は?」
「意識は戻ったらしいが、動かせない重体には変わりは無い」
「・・・・・」
「心不全を起こしたんだ‥
元々、心臓に持病があったのは知っているな?」
「ええ・・・」
「それがかなり進行していたらしい‥
それを無理して本社に来やがって・・・」
「何か話が?」
「あ?
・・・少しな‥」
この時期に父が動いたのは、理由は1つしか無いだろう。
まさか私と同じ考えだったとは・・
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