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青い残り火
第7章 第7章
千紗が座ったとたん、一段と大きな拍手が彼女を包んだ。それは皆が渋谷を知っているからであり、渋谷を想う千紗の気持ちが文章によく表れているからだった。
「すごく良かったよ」
桃香はそう言って手を叩いた。
そんな中、一馬は拍手もせずに紙を睨んでいた。胸が震え、手と足は冷たくなって喉が渇く。ふざけた詩を読む者に笑いが起こっても、彼には笑う余裕がなかった。
いいのか
いいのかマジで
読むのかこれを
彼は夜通し考えた恋文を目の前にして、高校の合格発表の日以上に緊張していた。自分の番が近付いてくる。それは想いを告げるチャンスでもあった。
「鈴木さん」
鈴木が「はいっ」と勢いよく立ち上がった。そしてすーっと息を吸い込んだ。
「“笑顔“
俺は知ってるんだ
君が泣いていたのを
あの冬の日
二人に手を振ったあと
笑顔が泣き顔に変わっただろ?
からかったこの俺に
怒ってケリを入れただろ?
また泣きたくなったら
俺にケリを入れて笑え
俺の好きな桃の花が
香るのをずっと待っているから」
「すごく良かったよ」
桃香はそう言って手を叩いた。
そんな中、一馬は拍手もせずに紙を睨んでいた。胸が震え、手と足は冷たくなって喉が渇く。ふざけた詩を読む者に笑いが起こっても、彼には笑う余裕がなかった。
いいのか
いいのかマジで
読むのかこれを
彼は夜通し考えた恋文を目の前にして、高校の合格発表の日以上に緊張していた。自分の番が近付いてくる。それは想いを告げるチャンスでもあった。
「鈴木さん」
鈴木が「はいっ」と勢いよく立ち上がった。そしてすーっと息を吸い込んだ。
「“笑顔“
俺は知ってるんだ
君が泣いていたのを
あの冬の日
二人に手を振ったあと
笑顔が泣き顔に変わっただろ?
からかったこの俺に
怒ってケリを入れただろ?
また泣きたくなったら
俺にケリを入れて笑え
俺の好きな桃の花が
香るのをずっと待っているから」