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青い残り火
第9章 第9章
富田に小さく会釈した西崎は、「熱射病には気を付けて活動してください」と教師らしい台詞をのこして去ろうとした。

「先生、あの……」

一馬が西崎の行く手を塞いだ。

「俺の、……前に課題として提出した俺の詩、どう思いますか。いやあの、結構真面目に書いたから……」

彼は、近すぎる距離に慌てて一歩下がった。

西崎は小脇に抱えていた国語辞典と、資料を挟んだバインダーを重ねて胸元に抱え直した。そして彼を見上げ、間を置かずに唇を動かした。

「若者らしい葛藤と、ひたむきな想いがよく表現されていたと思います」

「お、俺の詩、覚えてるんですか?」

心臓が跳び跳ねた。

「……新学期が始まったら返却する予定ですので少し待っていてください、では会議がありますから」

きゅっと結ばれた唇が、もう用は済んだでしょう? と物語り、軽い会釈で彼の横を通り過ぎる。

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