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青い残り火
第9章 第9章
背中を幾筋もの汗が流れ落ちた。
こめかみから首に伝うしずくがシャツの襟元に吸い込まれる。

怒りでも悲しみでもない強い感情が一馬の内側を支配していく。痛みで張り裂けそうな心の処し方を知らない一馬は、空を見上げ、ノズルのレバーを握って顔面に勢いよく水を浴びせた。
顔を叩く流水が、髪を、肩を濡らした。陽射しの中を跳ねる水滴が、光を反射しながら美しく舞い落ちる。
喉と鼻に押し寄せる水に咳き込み、溺れそうになりながら、一馬は、もがいても消せない想いがあることを知った。

あなたが好きだ、好きだ、好きだ……

隠しておけばよかった
こんな気持ちになるなら……

剥き出しの心に突き刺さった矢は、彼に失恋の苦痛を教えた。恋の盃は砕け散り、足元の水溜りに沈み込んでいく。

キュッと音がして、不意に水が止まった。


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