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青い残り火
第10章 第10章
ラベルを貼り終えた千紗が両手に本を抱えて持ってきた。それを一冊ずつ手に取り、図書記号を見て著者名を確認する。

「あ、それはここだよ」

「うん」

狭い通路で横に並び、千紗が顎で示した場所に本を差し込んだ。

「じつは昨日、渋谷に迫られちゃった」

「えっ?」

少し俯いて目を伏せた千紗は、悪いことでもしたかのように唇を軽く咬んだ。

「だからその……、き、キスしたの」

「……そう」

「い、一回じゃないのよ、何度もしてきて、その、だんだん軽いキスじゃなくなってきて……」

千紗のたどたどしい言い回しが芽衣の気に障る。

「首とか、耳とかにも……。もう、私、立ってられなくなっちゃって、……そしたらぎゅって抱き締められた」

「へぇー」

「それからね、……手が、伸びてきて、その、触られたの。立ったまま、胸とか、あ、服の上から……。そんなこと初めてだったから私怖くて」

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