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青い残り火
第10章 第10章
「うん」
千紗も桃香も確かなものを手に入れていた。渋谷は公の場で千紗に告白し、鈴木は思いの丈を詩に刻んだ。そのどちらも、疑う必要のないはっきりとした気持ちの表れだった。
一馬は?
あの詩は?
西崎への態度を目の当たりにした芽衣の心は大きく揺らいだ。信じたくない現実がそこにあった。
「先生にあげます」
手を伸ばせないあなた、それを許さないあなた、気づかないあなた……
それが自分である筈がなかった。
芽衣の頭の中で様々なシーンが交錯する。
あの嫌な感じのエロい女は?
好きじゃなくてもエッチできるの?
それなら私は
私の事は?
一馬……
「芽衣、それここじゃない?」
「あ、ほんとだ」
腰を屈めてその場所に本を差し込んだ芽衣は、隣に並んでいる『思い込みの心理学』という本を見つけた。
思い込み……
「やっと終わったね。どうする? 部活見に行く?」
明るく張り切った千紗の顔は、うんっ、と頷く芽衣を待っていた。
千紗も桃香も確かなものを手に入れていた。渋谷は公の場で千紗に告白し、鈴木は思いの丈を詩に刻んだ。そのどちらも、疑う必要のないはっきりとした気持ちの表れだった。
一馬は?
あの詩は?
西崎への態度を目の当たりにした芽衣の心は大きく揺らいだ。信じたくない現実がそこにあった。
「先生にあげます」
手を伸ばせないあなた、それを許さないあなた、気づかないあなた……
それが自分である筈がなかった。
芽衣の頭の中で様々なシーンが交錯する。
あの嫌な感じのエロい女は?
好きじゃなくてもエッチできるの?
それなら私は
私の事は?
一馬……
「芽衣、それここじゃない?」
「あ、ほんとだ」
腰を屈めてその場所に本を差し込んだ芽衣は、隣に並んでいる『思い込みの心理学』という本を見つけた。
思い込み……
「やっと終わったね。どうする? 部活見に行く?」
明るく張り切った千紗の顔は、うんっ、と頷く芽衣を待っていた。