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青い残り火
第10章 第10章

芽衣は何度も呼び掛ける一馬を残し、A棟の昇降口を走り抜けた。こぼれ落ちてくる涙が邪魔で、何度も拭わなければならない。
終われない
こんな惨めなままでは……
気を取り直そうにも、耳にしてしまった様々な事実が芽衣を追いかけてくる。校門を出て立ち止まり、メモ帳に挟んでいた四つ折りの紙を取り出した。
「こ、こんなものっ!」
花模様の紙がビリビリと破かれ、細かな塵になって周囲に散らばった。そこは、千紗と渋谷の始まりの場所だった。
芽衣は慌てて地面にしゃがみ込み、散らした紙片を拾い始めた。部活を見学しに来た千紗に気付かれるのを怖れたからだった。
俺、届く、愛し、手を伸ば、あなた……、途切れた文字の端々に、一馬の心がこもっていて惨めさが増す。
西崎先生さえいなければ、一馬はきっと、私を愛してくれるようになったのよ
私だって、最初はこんなに好きじゃなかったんだもの
地表に落ちて乾いていく涙を見つめているうちに、芽衣は、自分に非がないことに気付いた。
嫌われることなんて何もしてない──
終われない
こんな惨めなままでは……
気を取り直そうにも、耳にしてしまった様々な事実が芽衣を追いかけてくる。校門を出て立ち止まり、メモ帳に挟んでいた四つ折りの紙を取り出した。
「こ、こんなものっ!」
花模様の紙がビリビリと破かれ、細かな塵になって周囲に散らばった。そこは、千紗と渋谷の始まりの場所だった。
芽衣は慌てて地面にしゃがみ込み、散らした紙片を拾い始めた。部活を見学しに来た千紗に気付かれるのを怖れたからだった。
俺、届く、愛し、手を伸ば、あなた……、途切れた文字の端々に、一馬の心がこもっていて惨めさが増す。
西崎先生さえいなければ、一馬はきっと、私を愛してくれるようになったのよ
私だって、最初はこんなに好きじゃなかったんだもの
地表に落ちて乾いていく涙を見つめているうちに、芽衣は、自分に非がないことに気付いた。
嫌われることなんて何もしてない──

