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青い残り火
第10章 第10章
「お疲れ。おぅ、渋谷またな。おい野口、お前らもさっさと帰れよ」

芽衣に会釈していく者の中には、「川口さん、橋本と言います、よろしくお願いします」と挨拶する者もいた。芽衣は無理に口角を上げて「よろしくお願いします」と言い、心では新学期からの学校生活を憂えた。

「芽衣、もう帰った方がいいよ」

送るよ、と一馬は言わなかった。

「……ねぇ、あの詩」

「え?」

「あの詩の、”あなた”って、私じゃなかったんだね、西崎先生?」

「あぁ、……うん」

一馬は、呆気なくそれを認めた。

「心がこもってたよ」

「ふっ、でも無理なんだ」

「うん、無理だよ絶対」

冷たくそう言い残し、芽衣はそこを離れた。

無理だよ絶対……

発した言葉が、そのまま一馬からの言葉として胸に迫ってきた。拒まれた悔しさと嫉妬の炎を胸に抱き、冷めた視線を背中に受けて闇を進んだ。

所々に設置された小さな照明は、芽衣の足元までは届かない。夜の校庭は、夏祭りのあとの公園よりも寂しく、おまけに不気味だった。
中庭まで来ると、周囲の様子がうっすらと浮かび上がった。ほっとしてその光の元を探すと、それはB棟の三階、美術室の辺りだった。

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