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青い残り火
第10章 第10章

コンピューター室、書道室、工芸室、技術室を過ぎて美術室に近付いた。どの教室にも白いカーテンが掛かっていて中は暗く、人影を探すまでもなかった。
美術室にもいない……
足音に気を配りながら準備室に近付くと、閉め忘れたのか、ドアが5センチ程開いている。芽衣はドアを背にして立ち止まり、自分を落ち着かせようと目を閉じた。
何を見ても黙っていればいい
見なかった事にすればいい
教師二人の密会を盗み見るスリルに興奮を覚え、芽衣は呼吸を整えて胸に手をあてた。そして息を殺し、ドアの隙間へと歩み寄った。
「…………」
作品を覆った白い布があちこちに小山を作り、そのいくつかは下からイーゼルの脚が覗いている。
三島は奥の窓際に立ち、見慣れた服装でキャンバスに向かっていた。その横顔は真っ直ぐに何かを見つめたまま身じろぎひとつしない。
芽衣は三島の視線の先を知りたかったが、布が掛かったキャンバスのひとつがそれを邪魔していた。
美術室にもいない……
足音に気を配りながら準備室に近付くと、閉め忘れたのか、ドアが5センチ程開いている。芽衣はドアを背にして立ち止まり、自分を落ち着かせようと目を閉じた。
何を見ても黙っていればいい
見なかった事にすればいい
教師二人の密会を盗み見るスリルに興奮を覚え、芽衣は呼吸を整えて胸に手をあてた。そして息を殺し、ドアの隙間へと歩み寄った。
「…………」
作品を覆った白い布があちこちに小山を作り、そのいくつかは下からイーゼルの脚が覗いている。
三島は奥の窓際に立ち、見慣れた服装でキャンバスに向かっていた。その横顔は真っ直ぐに何かを見つめたまま身じろぎひとつしない。
芽衣は三島の視線の先を知りたかったが、布が掛かったキャンバスのひとつがそれを邪魔していた。

