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青い残り火
第10章 第10章
「お願い……」
確かにそう聞こえた。か細い女性の声が、何かを訴えている。
三島が声のする方へゆっくりと進んで姿が隠れた時、視界を遮っていたキャンバスが揺れて傾いた。バンッと音を立て、それは白い布を被ったまま床に崩れ落ちた。
「っ!……」
見つめ合う男女がそこにいた。
濃紺のカバーで覆われたソファーに、白い布を纏った女が座っている。女は、ほかには何も身に付けていないようだった。
屈んだ三島に両手を伸ばし、食い入るように彼を見つめている。
……だれ?
女はあまりにも美しく、その身体は陶磁器のように白い。
だれなの?
三島の手が女の頬に触れるとその瞳は深く色付き、伸びていた腕はぱたりと力を失った。優しく髪を掻きあげる男の手に自らの手を添え、頬に下りてきた手のひらに唇を押し当てている。
芽衣は二人から目を離すことが出来なくなり、ただ呆然と立ち尽くした。
確かにそう聞こえた。か細い女性の声が、何かを訴えている。
三島が声のする方へゆっくりと進んで姿が隠れた時、視界を遮っていたキャンバスが揺れて傾いた。バンッと音を立て、それは白い布を被ったまま床に崩れ落ちた。
「っ!……」
見つめ合う男女がそこにいた。
濃紺のカバーで覆われたソファーに、白い布を纏った女が座っている。女は、ほかには何も身に付けていないようだった。
屈んだ三島に両手を伸ばし、食い入るように彼を見つめている。
……だれ?
女はあまりにも美しく、その身体は陶磁器のように白い。
だれなの?
三島の手が女の頬に触れるとその瞳は深く色付き、伸びていた腕はぱたりと力を失った。優しく髪を掻きあげる男の手に自らの手を添え、頬に下りてきた手のひらに唇を押し当てている。
芽衣は二人から目を離すことが出来なくなり、ただ呆然と立ち尽くした。