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青い残り火
第11章 第11章
鈴木の言葉に黙り込んだ富田は、額に手を当てて途方にくれた。
わからず屋の富田に苛立った鈴木は携帯電話を取りだし、画面を操作しだした。

「おい、鈴木、あれはもう消えてるだろ?」

一馬が小声で囁いた。

「へへっ、俺はITにはちょっと強いんだぜ」

富田が額から手を離した。

「先生方の個人的な情報はですね……、ちょっと鈴木さん、聞いてください」

「聞いてますよ。あ、あった」

「鈴木、やめとけ」

一馬の手を鈴木が払いのけた。神谷が笑顔で近付いてきた。鈴木の失礼な態度に呆れながらも、富田は向かい合い、諭そうとした。

「いいですか、三島先生と西崎先生は……」

「はい、これ見てよ先生」

「兄と妹なん……」

「あらみんな楽しそう、鈴木さん、それ私も見せてもらっ……て……い……」


誰も、何も言わなかった。校舎内の喧噪も、外のセミの声も途絶えた。静寂の洞穴に置き去りにされた六人は、夢から覚める術を探した。
教師二人は我が目を疑い、生徒四人は耳を疑った。

今息をしているのは、携帯電話の画面に映し出されている、美しい二人だけだった。



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