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青い残り火
第12章 第12章
「川口、俺の切り方どう?」

「耳の大きさが右と左で違いすぎるよ。貼るだけなのに目の位置もへん」

「ははっ、ごめん、ウサギはもっと上手く切るから縫うの頼むな」

「耳はあんまり細くしないでね、綿を詰めるのは渋谷がやるんだから考えてやってよ」

「……、ウサギやめてブタにする。あ~、めんどくせぇ、俺、焼そばがよかったのに」

器用な芽衣の手元に見とれていた渋谷は、「そういえば」と言って芽衣の顔を見た。

「川口って図書委員だよな」

「そうだよ」

「図書室の上って美術室だろ?」

「うん」

「廊下とか階段で怪しいやつ見掛けたことない?」

芽衣は手を止めた。

「……記憶にないけど」

「そうか、人目を避けてうろついてたんだろうな」

「例の動画の犯人?」

「うん」

渋谷は頬杖をついて顎を突き出し、真顔で考え込む。眉が太く目付きが鋭い彼の顔は、笑うと人懐っこくなり、周囲の者を惹き付ける魅力があった。

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