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青い残り火
第12章 第12章

四人が腹を抱えて笑っているそこに芽衣の居場所はなかった。
ぽろぽろと零れる涙を手の甲で拭い、鼻を啜る芽衣の肩に誰かが触れた。
「大丈夫? 失恋でもした?」
神谷由香利が横に並んだ。彼女は外を向いたまま、芽衣を見ようとはしなかった。下をゆく生徒を見送るでもなく、見慣れた町並みの向こうの、緑地公園よりももっと遠くの空を見ていた。
「……はい」
芽衣は素直に答えた。
「そう、泣きたい時は泣かないとね」
嫌な女の筈の神谷がやけに身近に感じる。意地っぱりな自分と何処か似ている気がした。
「先生も失恋して泣いたんですか?」
鼻を啜りながら訊いた。
「私? ふふっ、バレてたか。……そうね、……私の場合は、泣くことすら出来ないの」
「……そうですか」
睫毛がしっかりと上を向いていた。日本人離れした目鼻立ちと、分厚い唇が魅惑的で、それに肉感的な体型が加われば、男子に注目されて当然だと今は思える。
「もう行くわ。合唱の練習見に行かなくちゃ」
「私ももう帰ります」
ぽろぽろと零れる涙を手の甲で拭い、鼻を啜る芽衣の肩に誰かが触れた。
「大丈夫? 失恋でもした?」
神谷由香利が横に並んだ。彼女は外を向いたまま、芽衣を見ようとはしなかった。下をゆく生徒を見送るでもなく、見慣れた町並みの向こうの、緑地公園よりももっと遠くの空を見ていた。
「……はい」
芽衣は素直に答えた。
「そう、泣きたい時は泣かないとね」
嫌な女の筈の神谷がやけに身近に感じる。意地っぱりな自分と何処か似ている気がした。
「先生も失恋して泣いたんですか?」
鼻を啜りながら訊いた。
「私? ふふっ、バレてたか。……そうね、……私の場合は、泣くことすら出来ないの」
「……そうですか」
睫毛がしっかりと上を向いていた。日本人離れした目鼻立ちと、分厚い唇が魅惑的で、それに肉感的な体型が加われば、男子に注目されて当然だと今は思える。
「もう行くわ。合唱の練習見に行かなくちゃ」
「私ももう帰ります」

