この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
青い残り火
第14章 最終章
「次の学校への転任手続きとか引き継ぎは?」
「とっくに済ませたよ、問題なし。むこうに挨拶もしてきたし」
「懐かしかったでしょ」
「まあね」
運ばれてきたコーヒーの薫りを味わいひと口飲んだ。二人は「おいしいね」と頷き合い、窓の向こうを歩く観光客を何とはなしに眺めていた。
「ところで、鈴木君元気?」
会ったこともない息子の友人の近況を、総子はいつも親しげに訊ねる。
「ああ、来月子供が生まれるって」
「ええっ、そうなの?」
「言ってなかったっけ?」
「知らないわよ。結婚してどれぐらい経つの?……桃香さんだっけ」
「そ、三年だよ。やっと子宝に恵まれたって喜んでるよ」
「良かったわねぇ。……あの子は? ほら、随分前に会った彼、ほらバスケ部のキャプテンだった……」
「あぁ、渋谷ね。あいつはまだ独身」
「あれ? 同級生とお付き合いしてなかった?」
一馬は「それいつの事だよ」と言ってカップを口に運んだ。
「とっくに済ませたよ、問題なし。むこうに挨拶もしてきたし」
「懐かしかったでしょ」
「まあね」
運ばれてきたコーヒーの薫りを味わいひと口飲んだ。二人は「おいしいね」と頷き合い、窓の向こうを歩く観光客を何とはなしに眺めていた。
「ところで、鈴木君元気?」
会ったこともない息子の友人の近況を、総子はいつも親しげに訊ねる。
「ああ、来月子供が生まれるって」
「ええっ、そうなの?」
「言ってなかったっけ?」
「知らないわよ。結婚してどれぐらい経つの?……桃香さんだっけ」
「そ、三年だよ。やっと子宝に恵まれたって喜んでるよ」
「良かったわねぇ。……あの子は? ほら、随分前に会った彼、ほらバスケ部のキャプテンだった……」
「あぁ、渋谷ね。あいつはまだ独身」
「あれ? 同級生とお付き合いしてなかった?」
一馬は「それいつの事だよ」と言ってカップを口に運んだ。