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青い残り火
第14章 最終章
一馬は毎年開催される高校の同窓会に出席した事がなかった。多忙である事を理由にしてはいたが、其の実思い出から遠ざかっていたかった。
友人らに会えばあの頃に戻り、思い出話の中に教師二人の名前が上がるかもしれない。彼はその憂鬱を避けたくて、毎年届く案内状を『欠席』で返信し続けた。
「黙ってたけどさ、川口芽衣も一度も出て来ないんだぜ」
渋谷がぽつりとそう言ったのは、一馬が26才になった日だった。
千紗と別れたばかりの渋谷は、同窓会に千紗が姿を見せなかった件を残念がっていたが、その話のついでに芽衣の事を知らせたのだった。
「え、……そうなんだ」
「もう過去の事だろ? 卒業してから時間経ってるんだし、気にし過ぎだろ。俺はその、ふられたばっかだから、千紗ちゃんが来なかったのはしょうがないけど」
「お前、自業自得のくせに未練たらたらだな」
「うるせぇ。お前だって三つ年下の彼女と別れたばっかだろ」
「まあね、でも未練はない、一人は楽だぞ、束縛されずにすむからな、ははっ」
友人らに会えばあの頃に戻り、思い出話の中に教師二人の名前が上がるかもしれない。彼はその憂鬱を避けたくて、毎年届く案内状を『欠席』で返信し続けた。
「黙ってたけどさ、川口芽衣も一度も出て来ないんだぜ」
渋谷がぽつりとそう言ったのは、一馬が26才になった日だった。
千紗と別れたばかりの渋谷は、同窓会に千紗が姿を見せなかった件を残念がっていたが、その話のついでに芽衣の事を知らせたのだった。
「え、……そうなんだ」
「もう過去の事だろ? 卒業してから時間経ってるんだし、気にし過ぎだろ。俺はその、ふられたばっかだから、千紗ちゃんが来なかったのはしょうがないけど」
「お前、自業自得のくせに未練たらたらだな」
「うるせぇ。お前だって三つ年下の彼女と別れたばっかだろ」
「まあね、でも未練はない、一人は楽だぞ、束縛されずにすむからな、ははっ」