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青い残り火
第14章 最終章
桃香が芽衣を連れて一馬の元に来たのは、会の終盤だった。

「芽衣帰るんだって」

「え、二次会行かないの?」

「うん、今日は仕事が立て込んでて。じつは、これから職場に戻るの」

芽衣はすまなそうな顔をするでもなく、むしろ仕事への意欲に満ちている。

「……そうなんだ」

「それじゃ、これで失礼します」

お辞儀の仕方が板についていた。以前よりふっくらとした頬が優雅に微笑んだ。一度も振り抜かずに、芽衣は出口へと向かった。引き締まった脹ら脛がプリーツスカートを揺らして歩く。さわやかで健康的な色気が漂っていた。

桃香に見送られ、みんなに手を振っている彼女には陰りがない。一馬の知らないところで芽衣はすっきりと殻を脱ぎ捨て、大人の女性に成長していた。

女の子ってあんなに変わるもんなのか?

戻ってきた桃香が何か言いたげに一馬の横に並んだ。

「芽衣変わったでしょ。彼女、本気の恋をしたのよ。もう終わっちゃったけど」

「……そっか」

あんな風に芽衣を変えたヤツっていったい……


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