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青い残り火
第14章 最終章

これって恋だよな

告白するチャンスを何度も逃し、電話を切った後にため息をつく。そんな歯がゆい一年が過ぎた頃、

「ご飯食べに行く時間ある?」

やっとの思いでそう切り出した一馬は「おなかがすいた」と笑った芽衣の返事に小躍りしたのだった。




あの一年が大切だった……

一馬は今になって思う。芽衣の中での葛藤に寄り添い、彼女が踏み出すまでの時間が必要だったのだと。

「試してたの、ずっと」

付き合って半年経った頃芽衣が言った。

「俺の事?」

「うん」

「もう、裏切られるのは嫌だし」

「当然だよ、俺、酷かったし」

「ふふっ、そうだったね」


芽衣は、二十一の時の恋にすべてをかけていた。五つ年上の男と愛し合い、結婚を夢見ていた。二十五才の時、男の海外赴任が決まった。両家で婚約の日取りを決めた矢先、芽衣の母親が脳梗塞で倒れた。男は予定通り赴任先の香港へ転属。母親は術後の経過も良く、順調に快方に向かっていたが、半年後に男から届いた手紙には、別れの言葉が綴られていた。

もう君を幸せに出来ない


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