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青い残り火
第14章 最終章
なんで、なんでこんなところに
まさか、まさか
嘘だろ……
男は彼女に包みを渡すと車椅子を押して向きを変えた。するとその時、彼女は後ろに立つ男を振り返り、幸せそうに微笑んだ。
……先生
見間違いなんかじゃない
あの人がそこにいる
眼鏡を外したその顔
忘れるわけがない
笑ってる
あの人が笑ってる
あの絵と同じ顔で……
……なんで車椅子に──
「あら、お父さんたら、もう少し待っててだって」
総子が呆れながら携帯を閉じたとたん、彼はすっくと立ち上がった。
「お、俺、様子見てくるよ」
「あらそう、場所わかるの?」
「わかるわかる、じゃ」
一馬は「そんなに急がなくても」と言う総子を無視して店を出た。
込み合う観光客の間を縫って三島の背中を追った。何がしたいのか、自分でもよくわからなかった。痛いほど鳴り響く鼓動が、一馬を突き動かしていた。
心に飼ってきた青い炎が息を吹き替えし、赤く赤く燃え上がっていた。
まさか、まさか
嘘だろ……
男は彼女に包みを渡すと車椅子を押して向きを変えた。するとその時、彼女は後ろに立つ男を振り返り、幸せそうに微笑んだ。
……先生
見間違いなんかじゃない
あの人がそこにいる
眼鏡を外したその顔
忘れるわけがない
笑ってる
あの人が笑ってる
あの絵と同じ顔で……
……なんで車椅子に──
「あら、お父さんたら、もう少し待っててだって」
総子が呆れながら携帯を閉じたとたん、彼はすっくと立ち上がった。
「お、俺、様子見てくるよ」
「あらそう、場所わかるの?」
「わかるわかる、じゃ」
一馬は「そんなに急がなくても」と言う総子を無視して店を出た。
込み合う観光客の間を縫って三島の背中を追った。何がしたいのか、自分でもよくわからなかった。痛いほど鳴り響く鼓動が、一馬を突き動かしていた。
心に飼ってきた青い炎が息を吹き替えし、赤く赤く燃え上がっていた。