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青い残り火
第14章 最終章
「あんたも見ていかへんか? わしのお気に入りは、ここの奥さんの若い時の絵ぇや。今とちいとも変わらへん。髪をひっつめててな、ひまわりみたいに明るくて眩しくて、ふぁはは、つられてこっちまで笑てしまう。わしがなんぼ売ってくれ言うても断られてばっかりや、うはははっ」

きっとあの絵だ
あの絵は三島の手元に戻ったんだ
ここの奥さん?
奥さん……

一馬は老人の口ぶりから、この土地に溶け込み、明るく笑っている少女を胸に浮かべてみた。

先生が笑ってる?
車椅子の生活を強いられて?

「ほんま仲良し夫婦やで」

夫婦だと言い切って語る彼は、目尻に深いしわを寄せて笑う。

「あの、この画廊はずっとここに?」

「そやなぁ、六七年前かなぁ。結構繁盛しとるみたいや」

「その、……ご、ご夫婦は、ここにお住いなんですか?」

「ふむ。その細い道を入ったとこが三島さんの家の玄関や、家はほら、あの扉と繋がっててな……」

一馬は老人の話を聞きながら中を覗き、奥の引き戸に目を向けた。

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