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青い残り火
第1章 第1章
「じゃ、俺先行くわ」
「あ、まるであたし達が邪魔したみたいじゃない」
「そーだよ、じゃあな」
立ち去る一馬に目配せのひとつも貰えないまま、芽衣は空を見上げてため息をついた。
「ねえ芽衣、その後どうなの?」
千紗が何を訊いているのか、芽衣はすぐにわかった。
「なにが?」
「藤村一馬と進展あり?」
「やだ千紗ったら。えーと、……き、キスだけ」
「きゃーっ」
「き、きすぅー!?」
千紗と桃香の悲鳴に紺色のブレザーが数人振り向いた。
「声デカイよ、ほら歩こう」
言えるわけない
初エッチは冬休みだっただなんて
一馬と同じクラスになった二人が教室で何を口走るか分からない
この手の噂はすぐに広まる
一馬に嫌われたくない
大人になった冬──
一馬の部屋で、一馬の胸で……
芽衣は、二人だけのいけない秘密が嬉しかった。
若い身体は甘い快感を覚えつつあり、彼と二人きりの時間をいつも欲していた。だが、部活が引退同然であるにも関わらず、一馬は芽衣との時間よりもバイトを優先していた。
「あ、まるであたし達が邪魔したみたいじゃない」
「そーだよ、じゃあな」
立ち去る一馬に目配せのひとつも貰えないまま、芽衣は空を見上げてため息をついた。
「ねえ芽衣、その後どうなの?」
千紗が何を訊いているのか、芽衣はすぐにわかった。
「なにが?」
「藤村一馬と進展あり?」
「やだ千紗ったら。えーと、……き、キスだけ」
「きゃーっ」
「き、きすぅー!?」
千紗と桃香の悲鳴に紺色のブレザーが数人振り向いた。
「声デカイよ、ほら歩こう」
言えるわけない
初エッチは冬休みだっただなんて
一馬と同じクラスになった二人が教室で何を口走るか分からない
この手の噂はすぐに広まる
一馬に嫌われたくない
大人になった冬──
一馬の部屋で、一馬の胸で……
芽衣は、二人だけのいけない秘密が嬉しかった。
若い身体は甘い快感を覚えつつあり、彼と二人きりの時間をいつも欲していた。だが、部活が引退同然であるにも関わらず、一馬は芽衣との時間よりもバイトを優先していた。