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青い残り火
第1章 第1章
「いいのかマジで……」

同じ言葉が口をついて出た。
芽衣に嘘をついた後ろめたさより、未知なる女性からのアプローチに期待が高まった。

「きゃー、見て見て、三島先生よ!」

窓辺に立った桃香が誰に言うともなく叫んだ。

「えっ、マジで?」

数人が声を上げ、女子のほとんどが窓に駆け寄って中庭を見下ろした。

「あぁ、やっぱいいよねー」

「すてき……」

「美術選択してよかったー」

一馬は「けっ、またかよくだらねぇ」と言って携帯をしまい、サッカーの話題で盛り上がっている男子の会話に加わった。

「おめでたい奴らだよな、結婚できるわけでもないのに。所詮三階の窓から見つめるだけ」

「マジでそれ、鈴木の言う通りだな、あははっ」

女子の背中を一瞥し、一馬らは昨夜の監督の采配について批評を始めた。

「あ、なにあれ、神谷が来た」

窓辺の声にサッカー談義が中断する。

「今、神谷って聞こえたよな」

「ゆ、由香利様だ!」

ガタガタと椅子が鳴り、男子が窓辺に駆け寄っていった。

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