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青い残り火
第6章 第6章
「見て見て、またあの二人。ほら、三島先生と神谷……」
「ホントだ」
どのクラスでも二人の注目度は高い。いつもはそんな事に興味を示さない芽衣だったが今日は気になった。窓際の席を立って外を見ると、どれどれと皆が集まってきた。
美術室や図書室のあるB棟の出入り口付近で、三島が神谷に呼び止められている。
振り向いた三島は白いカジュアルシャツの袖を廻り、胸元のボタンをひとつ外したいつものスタイルだった。
「ふん、用もないくせに声かけないでよ」
誰かが文句を言った。
「妬くな妬くな」
男子がからかうと、「子供はお黙り」と別の声が返ってくる。
「やっぱ素敵、背も高いし……」
濃い栗色の髪は緩く波打ち、鼻筋の通った面長の顔には心を読み取れない深い瞳があった。薄い唇から発する落ち着いた声は耳に心地よく届き、男子には到底望めない謎めいた雰囲気は、年頃の女子生徒を強く惹き付けて離さない。
そんな彼女達が更に胸を熱くするのは、時折見せる三島の一途な眼差しだった。普段の冷静さからかけ離れた表情、心に隠し持つ熱情を見た者は誰もが戸惑い、胸を焦がした。
けれど彼がその思いを注ぐ対象は唯一、四角いキャンバスだった。
「ホントだ」
どのクラスでも二人の注目度は高い。いつもはそんな事に興味を示さない芽衣だったが今日は気になった。窓際の席を立って外を見ると、どれどれと皆が集まってきた。
美術室や図書室のあるB棟の出入り口付近で、三島が神谷に呼び止められている。
振り向いた三島は白いカジュアルシャツの袖を廻り、胸元のボタンをひとつ外したいつものスタイルだった。
「ふん、用もないくせに声かけないでよ」
誰かが文句を言った。
「妬くな妬くな」
男子がからかうと、「子供はお黙り」と別の声が返ってくる。
「やっぱ素敵、背も高いし……」
濃い栗色の髪は緩く波打ち、鼻筋の通った面長の顔には心を読み取れない深い瞳があった。薄い唇から発する落ち着いた声は耳に心地よく届き、男子には到底望めない謎めいた雰囲気は、年頃の女子生徒を強く惹き付けて離さない。
そんな彼女達が更に胸を熱くするのは、時折見せる三島の一途な眼差しだった。普段の冷静さからかけ離れた表情、心に隠し持つ熱情を見た者は誰もが戸惑い、胸を焦がした。
けれど彼がその思いを注ぐ対象は唯一、四角いキャンバスだった。