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青い残り火
第7章 第7章
「あのさ」

美弥は座ったまま、丸まったショーツの形を整えて片足ずつ穿いていく。

「ずっと聞きたかった事なんだけど、私のこと好き?」

一馬はぽかんとした顔で美弥を見た。そして、「うん」と小さく頷いて笑った。

「そう、じゃあ好きって言ってみて。頷くだけじゃ分かんない」

「……」

面倒だった。早く切り抜けるには、唇を二回動かしながら二つの音を発すればいい。簡単なことだった。

「言えないの?」

「……」

彼の頭の中で、好きという文字がふにゃふにゃと踊っている。それを読めばいいだけだった。なのにその言葉は喉の奥に詰まり、押し出そうと試みる一馬を何度も失敗させる。

「言えないね。……よかった、そこは正直でいてくれて。そこまで嘘が付けたら、一馬って紙みたいに薄っぺらい人間だよ、ははっ」

尋問から解放された彼の口をついて出たのは「すみません」と言う台詞だった。

「すみません、って、好きって言えませんってことだよね」


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