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青い残り火
第7章 第7章
美弥の目に溜まった涙が、一馬に気付きをもたらした。真琴や理恵子と交わっていた頃の、絶え間無い性への探求心が、どこかへ飛んでいってしまっていた。芽衣や美弥ともそれなりに楽しんでいた行為が、今は単なる性処理としての価値しか見出だせなくなっていた。

なぜだ……

「なに考えてるの?」

「え……」

「ほらね、またとぼけた顔。人の気持ちなんてどうでもいいのよ一馬は。人を好きになったことある? 胸が痛くなるほど誰かを好きになったことあるの?」

「っ……」

──いいのこれは

あの時からだ
あいつを見るたびに胸がつまる
あいつの姿を追って、追って……
近付くと馬鹿みたいに緊張して
見えなくなるとまた探して

一馬は、西崎澪の頬をつたう雫を、自分を拒んだあの瞳を、細い背中を、これまで何度思い浮かべたかわからない。自習中に目が合う事を期待しては裏切られ、辞典を濡らした事を詫びようとしては口ごもった。


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