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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第23章 天地開闢
やはりばつが悪そうに、視線をそっぽに向けたまま呟く日嗣に女神は小さく笑むと、腕に抱いた子に目線を落とす。
『ただこの子は……あなたの神依は、本当に難産でした。本当に沢山の欲望がこの子を追ってきていて、その一部が蛟に取り憑き届いてしまった。結果としてあなたに出逢い、あなたの止まった時も動き出してくれたけど……』
「では……その赤子は」
『……ええ』
日嗣がようやく視線を戻したとき、赤子は見えない何かを求めるようその小さな両手を精一杯に上に伸ばしていた。女神が手を差し出せば、その小さな五本の指がぎゅ、と女神の人差し指を握る。
『……この子は、神依が淡島に生まれる前に禊ぎ切れなかったもの。家へ──父母の元へ帰るのだという、仮世で育んでいた記憶や生、絆。……借り物の魂と、言えるかもしれないわね。胎の中で首に絡まる緒のように、ずっとずっと神依の魂に絡み付いて──多分、仮世の母と繋がったままだった。
……最初、神依は本来水蛭子が覚えているはずのない仮世の両親のことを、少しだけ覚えていたの。あの一の禊も、よく気にしてくれました……同じように首に巻いていた勾玉も、新たな絆として神依をこちらに繋ぎ留めてくれていたのね』
「……」
『ただこの子は……あなたの神依は、本当に難産でした。本当に沢山の欲望がこの子を追ってきていて、その一部が蛟に取り憑き届いてしまった。結果としてあなたに出逢い、あなたの止まった時も動き出してくれたけど……』
「では……その赤子は」
『……ええ』
日嗣がようやく視線を戻したとき、赤子は見えない何かを求めるようその小さな両手を精一杯に上に伸ばしていた。女神が手を差し出せば、その小さな五本の指がぎゅ、と女神の人差し指を握る。
『……この子は、神依が淡島に生まれる前に禊ぎ切れなかったもの。家へ──父母の元へ帰るのだという、仮世で育んでいた記憶や生、絆。……借り物の魂と、言えるかもしれないわね。胎の中で首に絡まる緒のように、ずっとずっと神依の魂に絡み付いて──多分、仮世の母と繋がったままだった。
……最初、神依は本来水蛭子が覚えているはずのない仮世の両親のことを、少しだけ覚えていたの。あの一の禊も、よく気にしてくれました……同じように首に巻いていた勾玉も、新たな絆として神依をこちらに繋ぎ留めてくれていたのね』
「……」

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