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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第23章 天地開闢
 初めて出逢ったあの時とは違う。自分の体の下で揺れる女の体と心が愛しくて、もっともっと溶かしてみたくなる。溶け合ってみたくなる。
 可愛い巫女。口吸いだけでこんなにもとろけて、神たる魂に染み込んでくる。その熱は体を巡る水や風すべてに及び、呼吸さえ覚束ない。けれどもそれより遥かに喉を震わせていた女に一度ようやく深い呼吸を許せば、水面の瞳が熱っぽく向けられた。
「神依……」
「あっ……はぁっ……」
「……良かった。まだ下手だな」
潤みを帯びた唇同士につと糸が引く。神楽殿で交わしたものより遥かに濃い──なのにそれを拭うでもなく、見せ付けるように視線を動かし笑む男に、神依は羞恥から目を反らした。
 代わりに男の指が唇をなぞり、その艶を感触でもって神依に伝えてくる。触れるか触れないかの際(きわ)の愛撫。唇さえ、あのぴりぴりとした甘い刺激がするのだと初めて知った。それを男は知っていたのだろうか。窺うようにおそるおそる視線を持ち上げれば、琥珀のように深まった、濃い金の瞳に捉えられた。唇に感じる潤いをそのまま閉じ込めたかのような、とぷりとした金色。その中に、同じように自分も閉じ込められている。
 目合(まぐ)わい。その男の瞳が、わずかに揺れる。
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