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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第23章 天地開闢
またその甘露を口移しに分け与えられ、どうすればいいのか朦朧とためらった分が唇の端からこぼれて、肌を滑った。
(あ……こんな)
こんなにも言葉ならぬ、こんなにも淫蕩な口付けがあっていいのだろうか。
 男の言う結ばれなかったあらゆる時、その先にはそれごとに、こんなにも体と心をとろけさせる時間が待っていたのだろうか。例えばあの秋の日、もしも子供達が転けなかったら……あの純粋な眼差しの中でさえ、この淫らに糸引く、交合紛いの口付けを交わして乱されていたのだろうか。
(いや……そんな、……駄目、なのに)
なのにこのぞくぞくとした、甘い痺れは何だろう。ついさっきまで純を託していたはずの飴粒も、二人分の熱を宿した唾液に呆気なく溶かされてしまった。
 衣が触れ合う場所には更に蒸した熱がこもり、その熱は体の芯さえふやけさせて力を奪っていく。
 あの出逢いのときのような、作業染みた性急さも無い。代わりに男から与えられる快楽は濃度と粘度を増し、強烈に性感を帯びる場所を刺激されているわけでもないのに、理性と操の蕾は内側からほぐされていった。
 儚い蕾の精。初(うぶ)な小娘だったくせに、男の眼差しに当てられただけで酔い、その眼差しに言われるがまま、自ら勘所を晒け出してしまう。
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