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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第23章 天地開闢
 何故だかそれが少しだけ悔しいような気がして、それでも拒む気はないのだと……おずおずと男を引き寄せるようにその肩を抱けば、男もそれに応えるように再び首筋に顔を埋めた。
「嫌……じゃないです」
「うん」
「だからお願い、……もっと……深くに……」
「ああ──神依──」
近くなった男の耳元でようやくそれだけ囁けば、感極まった声と息で名が呼ばれた。
 文で綴った、伸びた水飴のような言葉は出てこなかった。ただ、体と……その奥で息づく何かが求めるままに口にしたそれに、皮膚は筆を走らせたとき以上の熱を感じ、けれどもその熱が男との境界を曖昧にしていく。心と、その更に深奥にあるものを溶かしていく。
 神と人が息吹を交わす。それは体だけでなく、魂を交わすことなのだと神依はもう知っていた。そうして原初の夫婦神が混沌から世界を創ったように、全てをとろけさせて交わり、新たな命を生み出すのだ。
 「あぁッ……!」
そしてそれを想ったとき、体の中をざあっと春の嵐が駆け抜けた。
 何の前触れもない──先程の口吸いのように、男神の唇に甘く犯される肩。何度も何度も吸われ、印をなぞるように舌先が這う。そこから、絶頂の際のような感覚が広がった。
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