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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~(おしらせあり)
第4章 底にあるもの
「これより先は私と巫のみ立ち入ることが許されたる地にて。他の者には皆ここで待ってもらう」
「えっ……私だけ?」
「うむ。そなたはこの先で、ある重要なものを得ることになる。形無くともそなたがそなたであるために必要なもの──。
そしてそれを授け得るはこの淡島においてただ一人。しかし、そこで見たものを絶対に人に語ってはならぬ。神々にはなお、語ることは許されぬ。もし語れば、そなたは永遠に近い時を惑い、孤独に苛まれながら生きることになろう。そしてそれを見守る禊と童もまた同じ時を苦しむ。故に……絶対に語らぬと、約束出来ますかえ」
「は……はい」
少女は初めて聞く洞主の声音とその語られたことの凄まじさに怖じ、小さく頷く。
それに違いないのか禊を見上げれば、禊もまた肯定するようにいつもの無表情とも取れる顔で頷いた。童も笑みを潜めている。
自分の振る舞い一つで禊と童の行く末まで貶めてしまうもの。それに少女は怯え、体を縮める。
「……ついておいで。私と手を繋いで、けれども決して私の手を離さぬよう──振り向かぬよう」
そして洞主はそんな少女の手を取り、石室の更に奥へと足を踏み出した。
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「えっ……私だけ?」
「うむ。そなたはこの先で、ある重要なものを得ることになる。形無くともそなたがそなたであるために必要なもの──。
そしてそれを授け得るはこの淡島においてただ一人。しかし、そこで見たものを絶対に人に語ってはならぬ。神々にはなお、語ることは許されぬ。もし語れば、そなたは永遠に近い時を惑い、孤独に苛まれながら生きることになろう。そしてそれを見守る禊と童もまた同じ時を苦しむ。故に……絶対に語らぬと、約束出来ますかえ」
「は……はい」
少女は初めて聞く洞主の声音とその語られたことの凄まじさに怖じ、小さく頷く。
それに違いないのか禊を見上げれば、禊もまた肯定するようにいつもの無表情とも取れる顔で頷いた。童も笑みを潜めている。
自分の振る舞い一つで禊と童の行く末まで貶めてしまうもの。それに少女は怯え、体を縮める。
「……ついておいで。私と手を繋いで、けれども決して私の手を離さぬよう──振り向かぬよう」
そして洞主はそんな少女の手を取り、石室の更に奥へと足を踏み出した。
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