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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第23章 天地開闢
あの男神は、それをもう知っているだろうか?
同じ血を受け継ぐこの男神は、もう、きっと──。
「神依……聞こえるか?」
不意にその神の声に優しく揺り起こされ、朦朧とする意識の中、うん、と頷く。
労るように頭を撫でられ、体には温い熱を感じる。水に包まれているようにゆらゆらと、心地好い浮遊感に包まれて……まるで世界に抱かれ、あやされているみたいだと思った。
「……私の真名は、邇邇芸命(ニニギノミコト)という」
「……ににぎ?」
「ああ。本当はもっと長いんだが、……まあ、いい」
「……邇邇芸、さま?」
「……ああ」
名を呼んだだけなのに、ものすごく嬉しそうな、男の声。
「さっきの約束、覚えているか」
「……え?」
「淡島に帰ったら……、お前にも新しい名前を付けてやると。今度は本当に……私だけの。俺だけの妻巫女に、相応しい名」
「……邇邇芸様……、はい」
うれしい。
頬が自然と緩むのを感じて、神依は傍らのぬくもりに甘えるように身を寄せる。
可愛い名前がいい、と朧気に思った。
だけどもそれを、実際に口にできたかはわからない。長い長い道を歩み、駆け、到ったような……そんな気持ちのよい倦怠感に、眠気がどんどん迫ってきて──くるくると男の指に遊ばれる髪だけに、かろうじて意識が引っ掛かっていた。
なんだか、すごく眠い。
それからしばらくして、本当に深い眠りに落ちる間際、
「……そうだな。その名は……」
微かにそんな男の声が聞こえた気がして……こくりと頷いたところで、神依は完全に、意識を手放した。
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同じ血を受け継ぐこの男神は、もう、きっと──。
「神依……聞こえるか?」
不意にその神の声に優しく揺り起こされ、朦朧とする意識の中、うん、と頷く。
労るように頭を撫でられ、体には温い熱を感じる。水に包まれているようにゆらゆらと、心地好い浮遊感に包まれて……まるで世界に抱かれ、あやされているみたいだと思った。
「……私の真名は、邇邇芸命(ニニギノミコト)という」
「……ににぎ?」
「ああ。本当はもっと長いんだが、……まあ、いい」
「……邇邇芸、さま?」
「……ああ」
名を呼んだだけなのに、ものすごく嬉しそうな、男の声。
「さっきの約束、覚えているか」
「……え?」
「淡島に帰ったら……、お前にも新しい名前を付けてやると。今度は本当に……私だけの。俺だけの妻巫女に、相応しい名」
「……邇邇芸様……、はい」
うれしい。
頬が自然と緩むのを感じて、神依は傍らのぬくもりに甘えるように身を寄せる。
可愛い名前がいい、と朧気に思った。
だけどもそれを、実際に口にできたかはわからない。長い長い道を歩み、駆け、到ったような……そんな気持ちのよい倦怠感に、眠気がどんどん迫ってきて──くるくると男の指に遊ばれる髪だけに、かろうじて意識が引っ掛かっていた。
なんだか、すごく眠い。
それからしばらくして、本当に深い眠りに落ちる間際、
「……そうだな。その名は……」
微かにそんな男の声が聞こえた気がして……こくりと頷いたところで、神依は完全に、意識を手放した。
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