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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第24章 稲依姫
 けれど自分は神々の長、この高天原を統べる女神。
 上に立つ者として、これ以上その神々の理解に甘えるわけにはいかない。今回のように我儘をして、浅慮短慮の振る舞いを重ねるわけにはいかない。
 日々の中では祭祀も政も定められたものを遂行しなければならないし、側近くに控える女達をないがしろにして淡島の巫女の元で遊びに興じていては、彼女達の誇りを害(そこな)うことになってしまうかもしれない。
 だから、天照にはそういう自由がもうあまりなかった。日嗣達を赦す代わりに、自らのそれを戒めたのだ。
 ……それを窮屈と思うことはない。
 だが、自分に足りなかったものを知ってしまった今は……寂しく感じることもある。敢えて言葉にしなくても、その不足を理解して、与えてくれようとした者が在ることはひたすらに嬉しかったが──どうにもならないこともあるだろうと、気を持ち直して月読に問うた。
 「……で、わらわがあの娘に会(お)うたこととその蛟と、何の関係があるのじゃ」
月読はそれに皮肉そうな笑みを浮かべると、あやすように小さな体を揺らしてやる。
「……下賜してやればよろしい。私が禊ぎ、貴女が与える新たな縁として」
「……む?」
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