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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第24章 稲依姫
【5】

 昼近くの奥社は賑やかな雰囲気に包まれていた。祭祀の準備も一段落つき、炊き出しの良い香りも辺りに立ち込めている。
 本来は収穫された米を搬入しに訪れた各地の村々の代表や人足達に振る舞われるものだが、準備に駆り出されていた巫や禊も皆々入り交じってちゃっかりと器を傾けていた。
(……悪くないな)
淡島の住人達に取っては、こういう時間も含めて祭だったのだろう。事実、炊き出しの何もかもが十分に足りていて、皆朗らかな顔をして自由に摘まんでいる。
 日嗣はそれに倣って汁物を二人分かっぱらうと、神依を待たせた場所へと急ぎ戻った。喧騒から少し離れた高床倉庫の前。神依は膝に包みを置いて、数人の巫女達と一緒に階段に座っていた。
 しかしそこに剣呑な雰囲気は感じ取れない。皆で寒さに手を擦りながら、和気あいあいとお喋りをしている。
 ──だがその内の一人が日嗣に気付くと、巫女達は途端にきゃあきゃあと声を上げ、年頃の娘達らしく騒ぎながら手を振って去っていってしまった。
(かしましい)
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