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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第24章 稲依姫
 そして夫婦神はかねてからの約束の通り揃って彼女にまみえ、後、二柱の女神達は顕にも密にも邇邇芸命を支え、その御霊が幸多きものになるよう、厚く祭り上げていった。

 ……そうして人間の世界ならば何代にも渡るような、人智も及ばぬほどの時を経た邇邇芸命と稲依姫は、世界を次代の命で満たしその役割を終えると、共にこの淡島にお隠れになる。
 しかしその間、二人は淡島に流れ着く全ての子達の父母として彼らを受け入れ、愛情深く見守り続けていた。
 その長い御代の中には時に、巡りの中で訪れる大きな災禍や人心の乱れもあったが、心ある神と人はその都度手を携え、この儚き世界を護り、繋げていった。
 淡島の巫覡達も善く二神に仕え、神々が成熟した後の治世は遥けく穏やかで……人々も己の道を全うし、満ち足りた人生を歩んだという。
 また子宝に恵まれた二人であったが、二人の子達はその淡島の人々の中にも混じり、今もそこで人として穏やかに暮らすか、神や巫と成って淡島や高天原にて祭祀や政を佐(たす)け、執り行い──
 でなければ、或いは──
 遥か八衢の向こうのどこかの国、どこかの時代に流れ着いて──生きているという。


(終)
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