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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第24章 稲依姫
夜には水底の星野と共に瞬く光の綿虫が舞い、月見花見の櫓では、それを愛でつつ杯を交わす夫婦神の姿が度々見受けられた。
 また長らく稲依姫と共に在った臣と小さな神々をここに召し上げれば、稲依姫もこれを大いに慶んだ。
 新居は朗らかな気配に満ち、長い生においても夫婦は仲睦まじくあり続けた。
 一方、彼女は巫女としても邇邇芸命に仕えその祭事(まつりごと)を支えていたが──常は正妻である木花之佐久夜姫と姉の石長姫を奉って、自らが並ぶことを善しとせず、一歩を謙(へりくだ)って淡島のその宮に坐していたという。
 しかし未だ神格も低く、神として惑うことも多かった稲依姫を最も救ったのがこの佐久夜姫であり、やがて稲依姫に子が授かると、佐久夜姫はそれを大いに言祝ぎ……たとえ生まれ出ずるも命の短い我が子に代えて、その子らを愛で、慈しみ、二柱の女神は一層の懇親を深めていった。
 また再び母として満ちた佐久夜姫は女性神としての威をますますに高め、人が神を忘れていく世界においてなお、あらゆる世代の女達から尊ばれる存在であり続けたという。
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