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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~(おしらせあり)
第6章 巫女として
【1】
「わ──私を神事に!?」
夜──奥社の一角に神依の声が響く。
藍の宵闇の中、篝火を灯され夕色に浮かぶ社殿。その上座に二柱の神を据え、下には洞主と大兄、そして身形を整えた神依とその僕(しもべ)達の姿があった。
そして日嗣はその前で、
「私が司る祭祀にて、その娘を取り立てる」
と唐突に、だが決定事項であるかのように宣下したのだ。
「孫。それってあの、頭を落とした蛟のヤツか?」
「ああ」
洞主らの手前、友とはいえ上段に並ぶことをわきまえ、段差で気任せに座っていた猿彦までもが意外そうに日嗣を見遣る。
残された者達も顔を見合わせ、まず大兄が一礼と共に口を開いた。
「お──恐れながら、御令孫。それは余りにも……彼女はまだ巫女としては……」
「既に選定を終え名も下っておろう。何か問題でも?」
「……いえ。一介の禊ごときが……出過ぎた真似を致しました。申し訳ありません」
夕から立て続けに起きている異例の出来事に、大兄は気ばかり焦らせていた玉衣に代わってやりたかったのだが……それは敢えなく一蹴される。
(やはり俺では相手にもされぬか……)
それは絶対に禊が越えることのできない隔たり。
「わ──私を神事に!?」
夜──奥社の一角に神依の声が響く。
藍の宵闇の中、篝火を灯され夕色に浮かぶ社殿。その上座に二柱の神を据え、下には洞主と大兄、そして身形を整えた神依とその僕(しもべ)達の姿があった。
そして日嗣はその前で、
「私が司る祭祀にて、その娘を取り立てる」
と唐突に、だが決定事項であるかのように宣下したのだ。
「孫。それってあの、頭を落とした蛟のヤツか?」
「ああ」
洞主らの手前、友とはいえ上段に並ぶことをわきまえ、段差で気任せに座っていた猿彦までもが意外そうに日嗣を見遣る。
残された者達も顔を見合わせ、まず大兄が一礼と共に口を開いた。
「お──恐れながら、御令孫。それは余りにも……彼女はまだ巫女としては……」
「既に選定を終え名も下っておろう。何か問題でも?」
「……いえ。一介の禊ごときが……出過ぎた真似を致しました。申し訳ありません」
夕から立て続けに起きている異例の出来事に、大兄は気ばかり焦らせていた玉衣に代わってやりたかったのだが……それは敢えなく一蹴される。
(やはり俺では相手にもされぬか……)
それは絶対に禊が越えることのできない隔たり。