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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~(おしらせあり)
第3章 世界の理
【1】
「……わあ……」
禊と共に洞を抜けた少女は、突如目の前に広がった空間に驚愕の声を上げた。
そこは一面──形容し難い、白と青と灰色の世界。午後も終わりの生気の無い光の明度に煌めく、海と空で出来た大地。上下左右に雲が流れ、また水を湛えているかのようにゆらゆらと揺れては打ち寄せている。或いはその逆なのだろうか。美し過ぎる水が空を映し、上下左右の感覚を無くしているだけなのだろうか。
その中で、一本の道を成すように並ぶ数え切れない程の白い木の鳥居。それを目で追えば遥か先に──雲や波を寄せ、或いは緑生い茂りその土や根を垂らす──水と空に浮かぶ島々があった。
「……空と海が混ざってる。島が浮いてる」
「雲海ですから」
「……」
無限の空間に圧倒され呆然と呟く少女だったが、禊はさもそれが当然のように答えてくれる。それで少女が呆けたように禊を見上げれば、先に出て待っていた洞主が笑って頷いた。
「それは禊の言う通り。そなたはほんの少し、こちらに辿り着く道筋が人とは違ってしまったから……不思議に思うこともあろうが、日を重ねればすぐにこの淡島にも馴染むであろ」
「は……はい……」
「……わあ……」
禊と共に洞を抜けた少女は、突如目の前に広がった空間に驚愕の声を上げた。
そこは一面──形容し難い、白と青と灰色の世界。午後も終わりの生気の無い光の明度に煌めく、海と空で出来た大地。上下左右に雲が流れ、また水を湛えているかのようにゆらゆらと揺れては打ち寄せている。或いはその逆なのだろうか。美し過ぎる水が空を映し、上下左右の感覚を無くしているだけなのだろうか。
その中で、一本の道を成すように並ぶ数え切れない程の白い木の鳥居。それを目で追えば遥か先に──雲や波を寄せ、或いは緑生い茂りその土や根を垂らす──水と空に浮かぶ島々があった。
「……空と海が混ざってる。島が浮いてる」
「雲海ですから」
「……」
無限の空間に圧倒され呆然と呟く少女だったが、禊はさもそれが当然のように答えてくれる。それで少女が呆けたように禊を見上げれば、先に出て待っていた洞主が笑って頷いた。
「それは禊の言う通り。そなたはほんの少し、こちらに辿り着く道筋が人とは違ってしまったから……不思議に思うこともあろうが、日を重ねればすぐにこの淡島にも馴染むであろ」
「は……はい……」