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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~(おしらせあり)
第4章 底にあるもの
【1】
それからの少女の生活は、“朝早く起きること・夜は早く眠ること・一人で仮宿から離れないこと”の三点を言い付けられた他はほとんど自由だった。
しかし少女には、この“朝早く起きること”がまだ辛い。
日嗣の祖母──太陽を司る女神を頂点に戴き、日の出・日の入りに合わせて動く高天原や淡島では、夏場は特に朝が早い。それ故に、少女も二日目の朝──まだ太陽が出るか出ないかの、空が白々としている頃から禊に揺り起こされた。
そして半分寝たまま支度を整えてもらい、寝惚けて転けないようにと童に手を引かれながら連れられたのは仮宿近くに設けられている小さな社。
そこは水蛭子に基本的な参拝の作法を学ばせる社らしく、少女も禊からそれを習い実際に数日間お参りもしたのだが、
「……ねむい……」
「姉ちゃん、今寝るとまた夜寝られなくなるよ」
「ん~……。……」
「……寝ちゃった?」
「うん……。……」
「……」
「……」
と大抵は朝餉(あさげ)を食べてお腹が一杯になると再び眠ってしまう。
そして午(ひる)頃、今度は暑さに耐えかねてもそもそと起き始め、ようやく活動を始めるというのがここ数日の少女の暮らしだった。
それからの少女の生活は、“朝早く起きること・夜は早く眠ること・一人で仮宿から離れないこと”の三点を言い付けられた他はほとんど自由だった。
しかし少女には、この“朝早く起きること”がまだ辛い。
日嗣の祖母──太陽を司る女神を頂点に戴き、日の出・日の入りに合わせて動く高天原や淡島では、夏場は特に朝が早い。それ故に、少女も二日目の朝──まだ太陽が出るか出ないかの、空が白々としている頃から禊に揺り起こされた。
そして半分寝たまま支度を整えてもらい、寝惚けて転けないようにと童に手を引かれながら連れられたのは仮宿近くに設けられている小さな社。
そこは水蛭子に基本的な参拝の作法を学ばせる社らしく、少女も禊からそれを習い実際に数日間お参りもしたのだが、
「……ねむい……」
「姉ちゃん、今寝るとまた夜寝られなくなるよ」
「ん~……。……」
「……寝ちゃった?」
「うん……。……」
「……」
「……」
と大抵は朝餉(あさげ)を食べてお腹が一杯になると再び眠ってしまう。
そして午(ひる)頃、今度は暑さに耐えかねてもそもそと起き始め、ようやく活動を始めるというのがここ数日の少女の暮らしだった。