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秘恋~ヒメコイ~
第9章 #8
花火が終わり、駐車場までの道。
……あんなところで泣くなんて、ヘンに思っただろうな ───。
少し前を歩く水沢さんは何も喋らなかったけれど、優しい空気がそこにはあった。
それはきっと、彼の優しさ。
車に乗り込み、長かったデートが終わろうとしていた。
「花火、綺麗だったな」
「はい。とっても。……友達のことを思い出しました」
「友達?」
「大学時代の……」
「そっか。今でも仲良いんだ?」
「彼女は…一緒に花火を見た翌年に亡くなりました」