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禁断背徳の鎖3・縺れるDestiny-運命-
第8章 順風満帆なのだけど‥
(・・・
震えていた・・・)
勢いのままに会長室を出て行った嬢ちゃん‥
咄嗟に掴んだ腕は、確かに震えていた。
「俺が言った言葉か?
同族婚に‥‥悪習‥‥」
紀永が悪習と言っていた‥
この言葉の後から、嬢ちゃんの様子がおかしかったのは確か‥‥
「悪習のなにに引っ掛かった?」
・・・
最近気になる事がある・・・
それは紀永の奴が、嬢ちゃんに対してあまりにも過保護だという事・・
18年も掛けて、漸く手にしたのは分かる‥
それにしても、あの過保護振りは紀永らしくない、もう少し放任主義だと思っていた。
「御披露目の時も‥‥」
失敗こそしたが、あの手の込んだ警備体制、そして主犯達に取った冷酷な態度‥
会長をしている紀永よりも、更に非情な決断・・
「まさか‥な‥
紀永に限ってそれは無いだろ」
今、頭に浮かんだのは、俺の考えであって、実際にある訳が無い。
(・・本当に無いと言い切れるのか?)
最上階フロアーのセキュリティーを作動させながら、つい溜め息混じり‥
願わくば、俺が今考えた事は現実では無いように‥俺はそれしか思えない・・・・・
「お帰りなさいませ美紀様」
「・・ただいま‥
遠藤さん、夕食食べて来たから、紀永がまだ食べていなかったら、ごめんなさいって言っておいて‥‥」
「はい、それは構いませんが‥‥」
普段なら、出迎える遠藤さんにひと事と思うんだけど、今日はそんな気にすらなれない‥
それに紀永にも会いたく無いから、部屋に籠もるつもり・・・
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