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第16章 早乙女美紀と倉原美紀

聞けば聞くほど、倉原君の経歴の不自然さか？


入社前に簡単に履歴書に目を通した・・


確かにあの付属高を中退、２年ほど別高校から東大合格をステイにし、米国留学し１年で帰国‥
考えて見れば、何処にも大学卒業とは書いていなかった。



(確か‥ハーバードの特待生、それで終わっていたと思う)


ただの留学だったのか？
それだったら東大に戻る筈、だというのに社会人としてクラスター社入社、しかも米国での引き抜き。


その経緯は一切無かった気がする‥
普通、そんな特殊な引き抜きであれば、何か添付資料があって然るべきなのに、倉原君にはそれが無い。



「世の中学歴社会、付属高から東大はかなり確率が高いと聞いた事があるな」


「高いんでしょう、他から見れば‥
社会に出れば学歴より実力なのに、何処までも学歴って付いて回ります‥ついでに、その中でも上下はあるんです‥どこまでも‥‥」


「・・・・・」


「すみません、余計な話をしました‥
もう少しで目的地ですから」


どれだけ嫌だったのだろうか？


そしてそれは高校なのか大学なのか‥
それっきり、倉原君は話してくれる事は無かった。