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イタズラな満月(フルムーン)
第13章 9th moon…消えた絆
「解っています。」
「解っていない!…たかが、人間の小娘一人のためにお前が死ぬ必要があるか?」
「エスパシオ様…そうまでしても、僕は彼女の笑顔が必要です。」
「ただ、…お前がそれを選んだら、あの小娘の笑顔を見ることはなくなるぞ?」
「……ッッ」

そうして言葉に行き詰まったユト。ぐっと手を握りしめたまま俯いていた。

「まぁ、ゆっくりと考えるんだな。自分自身の存在か…小娘の笑顔か…」 

そういうとエスパシオはユトに退室を命じた。その部屋を後にしたユトは、ため息を吐いていた。

「ゆっくり何てしてらんねぇんだよ。時間がねぇってのに。」
「……ッユト!」

苦い思いの表情を浮かべているユトに聞き慣れた少し高めの声が聞こえてきた。
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