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イタズラな満月(フルムーン)
第14章 10th moon…涙
雅自身も何を根拠に、大丈夫と言っているのか。解らなかった…ただ、なぜか、今のユトをみた途端に雅は優しく『大丈夫』と背中をさすっていたのだ。
どれ位したか、ユトは体を離すとぐぃっと涙の跡を擦った。

「ユト…」
「悪い…ごめんな」
「大丈夫だよ、ユトは?大丈夫?」
「……わかんねぇ。」
「今は…聞かない方がいい?」
「……ッ」

雅の問いに答えることが出来ないでいたユト。そんなユトに対して小さく笑うと雅はユトを見つめて呟いた。

「…大丈夫だよ、また、話せるときが来たらその時話してくれたらいいから。無理に聞こうとはしないから…」
「ア…リス」
「ね?…ジェーナに話して何か温かい飲み物持ってくるよ。」

そう言い立ち上がり、背を向けて扉に手をかけた時だった。ガタンッという音と同時に再度雅は抱き締められた。
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