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第6章 夏―2

お父さん？


お父さんが歩いて行った方を見る


ちょっと、待って？


走りながら、お父さんを追いかけるとお父さんが止まり、振り返って怒鳴られた


走るなっ？


ハイ。。。


電話の向こうで、陸の声が聞こえる


茉莉？どうした？


お父さんが近づいて来て、悪い顔している

電話を取られて陸に聞こえるように話してくる


茉莉だけの体じゃないんだから、走って転けたら、大変だろ？


やっぱり。。。悪い人だ

妊娠してないって、わかってるのに。。。


お父さん、陸から電話。。。


携帯を渡すと、笑いながら電話に出る


...

もしもし？


もしもし、陸です。。。

っ。。。コーチ、母さんの携帯を返してくれませんか？


お？

今日は、生意気じゃないな？


母さんに頼まれたんで。。。


どうしようかなあ？

この携帯、ロックがかかってるんだよな？

番号、教えてくれたら返してやるよ？


っ。。。それは無理です

番号、知らないんで。。。


よく、使う番号を教えてくれよ？

返してやるから？


今日、母さん、喫茶店にいます

持って行ってくれたのを確認したら、番号教えます


了解

喫茶店に着いたら、メールする

番号、メールして？


わかりました。。。


あと、土曜日は予定を空けといて？


え？

俺の？


そう、陸の予定を空けといて？


何で？


サッカー教室を頼まれたんだけど人手が足りない。。。

手伝えよ？


え？イヤだよ？めんどくさいっ


俺、まだ孫は欲しくないんだよな。。。？


コーチ。。。？

わざと言ってます？


そうだよ？

じゃあ、土曜日な？

メール、忘れるな？


...


携帯を渡してくる

ケラケラ笑うお父さんに唖然とする


お父さん？


茉莉、走るなよ？

じゃあな？


スタスタ歩いて行ってしまった

陸、どう思ったんだろう。。。？

お父さんも、陸の優しさに、つけこんでいた

親子なのに。。。

傷つけないって言ってたのに。。。？

手に入れるためなら、手段は選ばないんだろう