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月光の誘惑《番外編》
第1章 月下の桜(一)
「それより、ストラップありがとう! かわいいねぇ、あのストラップ。あと、お風呂暖めてくれてありがとう! 嬉しい!」
「……うん」
その無邪気な笑顔は、俺だけのものじゃない。
「月野だから、月なの?」
「買ったとき、名前知らなかったよ」
「あ、そうか! 偶然? スゴイねぇ! 翔吾くんは勘がいいんだねぇ」
シャワーで温められていく白くて柔らかな体も、俺だけのものじゃない。
「翔吾くん」
俺の名前を呼ぶ唇で、他の男の名前を呼ぶの? キスをするの? 他の男の体を、愛撫するの?
「おはようの、キス、して」
そうやって、煽って、理性を吹き飛ばして、欲に狂わせて――。
「あかり」
シャワーヘッドごと、華奢な体を抱きしめて、優しく唇を重ねて。舌を絡めて、唾液を飲んで。
もう、キスだけじゃ、我慢できない。
勃ち上がってくる雄の気配に、彼女の前では欲望のままに行動しよう、と思う。
何度抱いたって、何度果てたって、彼女はすべて受け入れてくれる。

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